本日、谷山徹先生をお招きして、日本語指導に関する質問会を開催いたしました。
普段の現場で直面する疑問点などを先生に直接お聞きできる機会を設けましたが、それだけにとどまらず、非常に雑多な話題を交えてお話いただきましたので、その備忘録として一部をご紹介しようと思います。
外国語を学ぶにあたって、どの言語でも「衝撃」があるというお話で、実例を交えて説明をしていただきました。
冠詞の衝撃
その一つ、冠詞に関する「衝撃」です。
冠詞には定冠詞の the と、不定冠詞の a, an がありますよね?
文中の不定冠詞では a book、定冠詞は the book です。
次にドイツ語。
「a book」にあたる語が 「ein Buch」、「the book」は「das Buch」です。
ここまでは納得できますが、次に紹介するスウェーデン語で奇っ怪なことが起ります。
「a book」にあたる語が 「en bok」ですが、「the book」の場合は「booken」となり、なんと冠詞の「en」が語の後ろに来ます。
これはもはや冠詞とは言えませんよね。
語形変化の衝撃
次にドイツ語の語形変化に関する衝撃です。
ドイツ語の名詞には、男性名詞、女性名詞、中性名詞があり、その名詞がその性別かで前の形容詞が語形変化します。
gut = good を例に挙げます。
guter Man (男性)いい男性
gute Idee(女性)いい女性
gutes Zimmer(中性)いい部屋
このように、男性であれば「er」、女性は「e」、中性は「es」を付けることによって変化しますが、文中で述語として使用される場合は
Er ist gut. (He is good.)
と、変化しないそうです。
ただし、ハンガリー語はこれと逆の現象が起きるそうです。
つまり、文中で語形変化をし、名詞を修飾する場合は変化しません。
同じヨーロッパの言語でも系統が違うようで、ハンガリー語はアジアの言語に分類されるそうです。
ちなみに、アジアの言語は他に、日本語、フィンランド語、トルコ語、韓国語があり、文法が良く似ているそうです。
フィンランドがなぜアジアの言語なのか、謎ですね。
語順について
同じゲルマン語の英語とドイツは文法も良く似ているそうですが、ドイツ語は英語のように語順がきっちり決まっているわけではなく、結構許容があります。
I came from Japan.
ドイツ語では
Ich komme aus Japan.
語順は英語と同じです。
英語ではこれを「From Japan came I」とはできませんが、ドイツ語では可能です。
Aus Japan komme ich.
ちなみに、Ich komme aus Japan.はドイツ語では少し稚拙な表現となり、Aus Japan komme ich. の方がよりドイツ語らしいとのことです。
ドイツ語には動詞(述語)を第二位に入れておけばあとの語順は自由という決まりがあり、それを「定形第二位」というそうです。
この場合、「Ich」「komme」「aus Japan」と三分割しますので、「komme」が二番目に来れば、あとの語順は自由なのだそうです。
なので、Ich aus Japan komme. はNGということです。
他にもお話いただきましたが、またこのような機会を設けようと思っていますので、ご都合の合う方は是非。
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